かつての住まいは柱や梁が見え、塗り壁など自然素材の内装仕上げでした。工業化が進み、施工性が高い材料が多く増えたことで、どこを見ても「貼りもの」の内装になった気がします。
ビニールクロスも、木のリアルなパネルも安価で、メンテナンス性に優れるので、もはや全てを無しには考えられないでしょう。なので部分的にでも、「脱ビニールクロス」を提案しています。
木の模様ではなく本物の木を。塗り壁風ではなく本物の塗り壁を。本物は質感も手触りも違います。それは感覚的に感じ得るもので、睡眠の質やストレス軽減に繋がるとのデータもあります。
また、「貼りもの」の建材はぶつけたり削ったりすると表面が剥がれ、なんともみっともない状態になります。本物の材料は内部も同じなので、ぶつけても削っても平気。汚れたら削ればよいのです。
天井を木で仕上げれば、まず汚れることもないのでメンテナンスは必要ありません。壁も腰から上に切り替えることで汚れる可能性は減ります。また自然素材は湿度を吸放湿する性能もあるので、湿度を一定に保ってくれます。全面ビニールだとそこで水分は止まってしまいます。
しかしながら、ビニールクロスは様々な柄があり、安価で、個性を出すことで空間を楽しませてくれます。張替えも容易です。クロスはアクセントに。気分に応じて、何年かで張り替える。そんなくらいでも良いのではないかと思います。